人材開発支援助成金の訓練計画策定のコツ|申請前に押さえておきたい実務ポイント
人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップや職業能力の向上を目的とした訓練に対して、その費用や賃金の一部が助成される制度です。中小企業にとって活用価値の高い制度である一方、訓練計画の策定段階でつまずき、申請がうまく進まないケースも少なくありません。当事務所では、行政書士と社会保険労務士のダブルライセンスを活かし、書類作成から労務管理の整備まで一体的にサポートしておりますが、本記事ではとくに訓練計画の策定において実務上重要となるポイントをまとめてご紹介します。
1. 訓練計画は「事前届出」が大原則
人材開発支援助成金において、もっとも見落とされがちな要件のひとつが訓練開始前の計画届出です。訓練を実施したあとに申請しようとしても、事前届出が済んでいなければ原則として助成対象とはなりません。
具体的には、訓練開始日の原則1か月前まで(コースによって異なる場合があります)に、管轄の都道府県労働局またはハローワークへ訓練計画届を提出する必要があります。大阪府内に事業所を置く場合は大阪労働局が窓口となりますが、提出先や期限の詳細は制度改正により変わる可能性がありますので、申請前に必ず最新の要領を確認することをお勧めします。
「とりあえず研修を受けさせてから申請しよう」という進め方では助成を受けられない可能性が高いため、訓練の計画段階から助成金の活用を視野に入れたスケジュール設計が重要です。
2. 訓練の「目的」と「業務との関連性」を明確に記載する
訓練計画書を作成する際に担当者が悩む箇所のひとつが、訓練目的の記載です。ここで意識すべきは、「なぜこの訓練が自社の業務に必要なのか」を具体的に説明することです。
たとえば「スキルアップのため」「社員教育のため」といった抽象的な記載では、審査において訓練の必要性が伝わりにくくなることがあります。それよりも、対象となる従業員の現在の業務内容、習得を目指すスキルの内容、訓練後にどのような業務に活かすかという流れを、具体的な言葉で記述することが求められます。
当事務所がサポートする際には、事業主の方からヒアリングを行い、業務フローと訓練内容の対応関係を整理したうえで計画書の文言を組み立てるようにしています。記載の具体性が審査通過の可能性を左右することがあります。
3. OJTを組み込む場合の記録整備の考え方
人材開発支援助成金の一部コース(とくに人材育成支援コースなど)では、OFF-JT(職場外訓練)とOJT(職場内訓練)を組み合わせた形での申請が可能です。OJTを組み込む際は、訓練の実施記録の整備が特に重要になります。
OJTの記録において押さえておきたい主なポイントは以下のとおりです。
- 訓練の実施日・実施時間・指導担当者名を毎回記録する
- 訓練内容が計画書に記載した項目と対応していることを確認する
- 訓練を受けた従業員と指導担当者の双方が記録に署名・押印する(様式の指定がある場合はそれに従う)
- 訓練時間は通常の業務時間と明確に区別して管理する
OJTは「日常業務そのもの」と混同されやすいため、訓練として認定されるためには計画に基づいた体系的な指導である点を記録上も示す必要があります。記録の不備は支給審査における指摘事項になることがありますので、実施段階から丁寧な管理が求められます。
4. 対象労働者の要件確認を計画段階で行う
訓練計画を立てる段階で、もうひとつ確認しておきたいのが対象となる労働者の要件です。雇用保険の被保険者であることが基本的な前提となりますが、雇用形態・雇用期間・訓練開始時点での在籍状況なども要件に関わってくることがあります。
たとえば、訓練開始時点で試用期間中の社員が対象になるかどうか、有期雇用労働者を対象とする場合にコースの選択が変わるかどうかなど、状況によって適用されるコースや助成率が異なる可能性があります。
対象者を計画段階で確定させずに進めると、後から要件を満たさないことが判明するリスクがあります。当事務所では社会保険労務士としての知見から労務情報の整理もあわせて行い、申請対象となりうる従業員を事前に洗い出すご支援をしております。
5. カリキュラムと時間数の設定に関する実務的な注意点
訓練計画書には、訓練のカリキュラム(科目・内容・時間配分)を記載する欄があります。ここで重要なのは、時間数の設定が要件上の最低基準を満たしているかという点と、各科目の内容が具体的に記されているかという点です。
たとえばOFF-JTの場合、コースによっては1訓練あたり10時間以上といった最低時間数の要件が設けられていることがあります(要件は年度改正により変更される場合があります)。また、「ビジネスマナー研修」のような科目名だけでは内容が不明確とみなされることがあるため、具体的に何を学ぶかが伝わる記載にすることが望ましいといえます。
外部の研修機関を利用する場合は、その機関が発行するカリキュラム表や受講証明書の様式なども事前に確認しておくと、後の書類収集がスムーズになります。
6. 計画策定から申請完了までの流れを事前に把握しておく
人材開発支援助成金の手続きは、大きく分けて①訓練計画届の提出 → ②訓練の実施・記録 → ③支給申請という流れになります。支給申請は訓練終了後の一定期間内に行う必要があり、この期限を過ぎると申請できなくなる可能性があります。
全体のスケジュールを把握せずに進めると、書類収集が間に合わなかったり、申請期限を見落としたりするリスクがあります。訓練計画の策定段階から、支給申請までのロードマップを描いておくことが、スムーズな申請につながる可能性があります。
当事務所は大阪・瓦町を拠点に、社会保険労務士とのダブルライセンスを活かして助成金申請の全工程をサポートしております。人材開発支援助成金の活用をご検討の際は、訓練開始よりも十分に前のタイミングでご相談いただくことをお勧めします。計画届の提出期限から逆算したスケジュール設計からお手伝いすることが可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。具体的な申請可否・採択可能性は事業内容により異なります。
執筆:東亮介(行政書士 第13262050号/社会保険労務士 第27130052号)