COLUMN · 2026.09.05

建設業許可の新規取得で押さえるべき経営業務管理責任者要件

建設業許可の新規取得を検討する際、多くの事業者が最初につまずくのが経営業務管理責任者(以下「経管」)の要件です。許可申請の根幹をなす要件であるにもかかわらず、法令の読み方がわかりにくく、自社に該当者がいるのかどうか判断に迷うケースは少なくありません。当事務所では大阪・瓦町を拠点に、建設業許可申請のご相談を数多くお受けしてきました。本稿では、経管要件の基本的な構造と実務上の留意点を整理してお伝えします。

1. 経営業務管理責任者とは何か

建設業法第7条第1号は、建設業の許可を受けるにあたり、営業所ごとに経営業務の管理を適正に行うための体制が整備されていることを求めています。この体制の中核を担うのが経営業務管理責任者です。

2020年10月の建設業法改正以前は、特定の役員等が個人として要件を満たす必要がありましたが、改正後は法人・個人単位で「適切な経営能力を有すること」を組織として証明する枠組みへと変わりました。ただし実務上は、依然として特定の個人(常勤役員等)が要件を満たす経歴を持つかどうかが審査の中心となります。

2. 常勤役員等による経管要件の具体的な内容

最も一般的な経管の証明方法は、常勤役員等のうち一人が所定の経営経験を有していることです。ここでいう「経営経験」には、大きく分けて以下の類型があります。

  • 建設業を営む法人において5年以上役員等(取締役、執行役員、業務を執行する社員など)の地位にあった経験
  • 建設業を営む個人事業主として5年以上の経営経験
  • 建設業を営む法人において役員等に次ぐ職制上の地位として5年以上財務・労務・業務運営のいずれかを担当した経験

なお、「建設業を営む」とは、必ずしも許可業者である必要はありません。無許可で軽微な工事のみを行っていた事業者での経験でも、該当する可能性があります。ただし、その経験を裏付ける資料として登記簿謄本・確定申告書・請負契約書・工事台帳など複数の書類が求められる点に注意が必要です。

3. 常勤役員等+補佐者による代替ルート

2020年の法改正で新設されたのが、常勤役員等の経験要件を短縮し、補佐者を置くことで経管体制を証明する方法です。具体的には、常勤役員等が以下のいずれかの経験を有し、かつ補佐者を配置するケースです。

  • 建設業を営む法人の役員等として2年以上の経験+財務・労務・業務運営のいずれかを通算5年以上補佐した者を配置
  • 役員等に次ぐ職制上の地位として財務・労務・業務運営を5年以上担当した経験+同様の補佐者を配置

このルートは、創業間もない法人や、経営陣の経歴が分散しているケースで活用できる可能性があります。ただし補佐者の要件も別途確認が必要であり、書類の収集量が増える傾向があります。どちらのルートが自社に適しているかは、個別の状況を踏まえた検討が不可欠です。

4. 「常勤性」の確認で見落としがちなポイント

経管に就く者は、原則として主たる営業所に常勤していなければなりません。この「常勤」の判断において、実務上よく問題となる点を以下に挙げます。

  • 他社との兼務:他の法人の代表取締役や常勤役員を兼務している場合、常勤性が認められないことがあります
  • 住所と営業所の距離:居住地から通勤が現実的でないと判断されると、常勤とみなされないことがあります
  • 健康保険・厚生年金の加入先:社会保険の加入状況も常勤性の確認資料として提出を求められる場合があります

当事務所は行政書士と社会保険労務士のダブルライセンスで運営しており、社会保険の加入状況の確認や整備についても建設業許可申請と一体で対応することが可能です。特に「経管予定者の社保加入先をどこにすべきか」という点は、許可申請の準備段階で早めに整理しておくことをお勧めします。

5. 経験を証明する書類の収集が最大の難所

経管要件の審査において、申請者が最も苦労するのは過去の経験を客観的に証明する書類の収集です。特に以下のような状況では、必要書類の特定に時間を要することがあります。

  • 過去に勤務・役員を務めた会社がすでに解散・廃業している
  • 数十年前の経験を証明する必要がある
  • 個人事業主時代の請負契約書や確定申告書が散逸している

大阪府知事許可の場合、申請先は大阪府土木事務所(本局は大阪市内)となり、提出書類の基準は大阪府の手引きに沿って確認することになります。書類の過不足は申請の遅延や補正指示につながることがあるため、事前に行政との窓口相談を行いながら準備を進めることが現実的です。

6. まとめと当事務所へのご相談について

経営業務管理責任者要件は、建設業許可の中でも証明の難易度が高く、かつ許可の可否を左右する根幹的な要件です。「誰が経管になれるか」「その経験をどの書類で証明するか」「常勤性の問題はないか」という三点を事前に丁寧に整理することが、スムーズな許可取得への近道となる可能性があります。

当事務所では、建設業許可申請の初回ご相談から書類収集・申請書作成・窓口対応まで一括してサポートしております。行政書士と社会保険労務士のダブルライセンスを活かし、許可要件の確認と同時に労務・社保面の整備についてもアドバイスすることが可能です。大阪・瓦町へのご来所のほか、メール・オンラインでのご相談も受け付けておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。具体的な申請可否・採択可能性は事業内容により異なります。

執筆:東亮介(行政書士 第13262050号/社会保険労務士 第27130052号)

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