助成金の不正受給ペナルティ|事業者が絶対避けるべきNG行為
雇用関係助成金や各種補助金は、事業者にとって資金調達の重要な手段のひとつです。しかし、申請内容や受給後の運用を誤ると、不正受給と認定され、受給額の返還にとどまらず深刻なペナルティを受ける可能性があります。当事務所では大阪・瓦町を拠点に、行政書士と社会保険労務士のダブルライセンスを活かして助成金申請のサポートを行っていますが、残念ながら「知らなかった」という理由でトラブルに至るケースを目にすることがあります。本コラムでは、事業者が特に注意すべきNG行為とその法的リスクについて整理します。
1. 不正受給とはどのような行為を指すか
不正受給とは、虚偽の申請書類を提出したり、受給要件を満たさないにもかかわらず給付を受けたりする行為を指します。厚生労働省が所管する雇用関係助成金においては、雇用保険法第10条の4などに基づき、不正の手段により受給した者に対して返還命令等の措置が取られることがあります。
不正受給に該当する可能性がある主な行為は以下のとおりです。
- 実態のない雇用や労働時間を計上した申請
- 支給対象外の従業員を対象者として申告すること
- 訓練や休業の実施記録を架空・改ざんすること
- 賃金台帳・出勤簿など証憑書類を偽造すること
- 受給後に助成金の支給要件(雇用維持期間など)を満たさなくなったにもかかわらず報告しないこと
故意・悪意がなくても、書類の不備や管理の不徹底が「虚偽申告」と判断される場合があります。申請時だけでなく、受給後の管理体制も極めて重要です。
2. 不正受給が発覚した場合のペナルティ
不正受給が認定されると、行政から複数の措置が重なって科される可能性があります。その主なものを以下に示します。
- 受給額の全額返還命令:不正に受け取った助成金の全額を返還するよう命じられることがあります。
- 加算金(延滞金)の賦課:返還額に加え、受給額の20%相当の加算金が課される場合があります(雇用保険法による)。さらに延滞金が加算されることもあります。
- 不支給・支給停止措置:不正受給が確認された場合、以後最大5年間にわたり同一の助成金の申請ができなくなる可能性があります。
- 事業者名の公表:一定規模以上の不正受給については、厚生労働省や都道府県労働局のウェブサイトで事業者名・代表者名・不正受給額などが公表されることがあります。
- 刑事罰の適用:悪質と判断された場合は、詐欺罪(刑法第246条)として刑事告訴される可能性があり、懲役や罰金といった刑事責任を問われることがあります。
これらのペナルティは単独ではなく、複合的に科される場合があります。特に加算金と事業者名公表は、資金的ダメージと信用失墜の両面から事業継続に重大な影響を与える可能性があります。
3. 「グレーゾーン」と見なされやすい典型的な事例
明らかな書類偽造とは異なり、日常業務の中で意図せず要件を逸脱してしまうケースも存在します。当事務所が相談を受ける中でよく見受けられるのは、以下のような事例です。
- 勤怠管理の実態と書類の乖離:タイムカードと実際の労働時間が一致しておらず、助成金申請の根拠資料として使用した結果、虚偽記載とみなされる可能性があります。
- 支給後の雇用条件変更の無申告:キャリアアップ助成金等では、正社員転換後の処遇維持が要件となっている場合があります。転換後に給与を引き下げた場合、不正受給に問われる可能性があります。
- 訓練の実施状況が記録と異なる:人材開発支援助成金などでは、カリキュラムどおりに訓練が実施されたことを証明する書類が必要です。出席記録が不正確な場合、要件を満たさないと判断されることがあります。
- 複数の助成金の重複申請:対象者や費用が重複する形で複数の助成金を申請することは、規定上禁止されている場合があります。
悪意がなかったとしても、管理上の不備が積み重なると行政調査の対象となることがあります。申請段階から受給後の運用まで、一貫した記録管理が求められます。
4. 行政調査はどのように行われるか
厚生労働省および都道府県労働局は、助成金の受給事業者に対して定期的または不定期に調査を実施することがあります。調査の端緒としては、労働者からの内部告発、他の行政機関との情報共有、申請内容の統計的異常値などが考えられます。
調査では、賃金台帳・出勤簿・雇用契約書・就業規則・訓練実施記録などの原本確認が求められることがあります。これらの書類は助成金受給後も数年間保存する義務がある場合があり、保存期間中はいつでも調査対象となりうります。
調査に対して虚偽の説明をしたり、書類の提出を拒否したりすることは、それ自体がさらなる不利益処分につながる可能性があります。調査通知を受けた段階で、速やかに社労士や弁護士などの専門家に相談されることをお勧めします。
5. 不正受給を未然に防ぐための実務対策
不正受給リスクを低減するためには、申請前から受給後まで継続的な管理体制の整備が必要です。当事務所では社会保険労務士としての立場から、以下のような実務対策をご提案しています。
- 申請前の要件確認:各助成金の支給要件・対象者・支給対象期間を正確に確認し、自社の状況と照合すること。
- 就業規則・労働契約の整備:実態と書面が乖離しないよう、雇用条件を定期的に見直すこと。
- 勤怠管理システムの導入:タイムカードや紙ベースの管理では誤差が生じやすいため、客観的な記録が残るシステムの活用が有効です。当事務所では提携IT導入支援事業者とも連携しており、IT導入補助金を活用したシステム導入のご相談にも対応しています。
- 受給後の継続モニタリング:支給要件の維持状況を定期的に確認し、変更が生じた場合は速やかに所轄機関へ報告すること。
- 書類の適切な保存:申請関連書類はすべて整理・保管し、いつでも提示できる状態を維持すること。
6. まとめ|専門家への早期相談が重要な理由
助成金の不正受給は、受給額の返還・加算金・支給停止・事業者名公表・刑事責任と、複数の深刻なリスクをはらんでいます。「知らなかった」「意図していなかった」という事情は、行政判断においてそのまま免責事由となるわけではありません。
一方で、適正な手続きを踏んで申請・運用を行えば、雇用関係助成金は事業者にとって有効な経営支援ツールとなります。当事務所では大阪・瓦町を拠点に、行政書士と社会保険労務士のダブルライセンスを活かし、申請書類の作成から受給後の管理体制の構築まで、一貫してサポートしています。助成金の申請を検討されている方、または現在受給中で管理方法に不安をお持ちの方は、お早めにご相談ください。
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※本記事は一般的な解説であり、個別の結果を保証するものではありません。具体的な申請可否・採択可能性は事業内容により異なります。
執筆:東亮介(行政書士 第13262050号/社会保険労務士 第27130052号)